臭い

臭い

小副川

(一次予選得点:20.5)

 標題が「くさい」か「におい」か分からずに読みはじめました。迷った分だけ作品に集中できず、損をしているかもしれません。
 物語の進みかたにメリハリがないので、主題を「臭いものずきの女子大生でした。無駄な努力でしたね。ちゃんちゃん」という程度のものに読まれがちに思います。彼女にとって寝たい相手は主人公ではなくて「オジサンの臭い(におい)」の方であること、相手を蔑み嫌うこと延いては自分を蔑むことをこそ求めているという部分が隠されてしまいます。この作者の他の作品とも共通する「劣り、蔑まれる存在」の屈辱感がこの作品では希薄になっているように思われました。
 「金髪といっても外人ではない。大和撫子女子大生だ」という主人公の浅薄な認識と女子大生側から主人公を見た認識がもっと対比されるような構成を工夫するべきでしょう。また文章自体が変格というよりは不器用な印象で、読み返しが不充分だと思われます。