08/08 23:32
月森あおい
優しいタッチの好感のもてる作品です。醒めたような文章でありながら、幼さの残る恋心を衒いなく描けています。ストレートなのに押付けがましさや、一人よがりな感じを与えないのが、この作品の美点でしょう。全体の構成もバランスが良く、うまく書けています。
ただ、タイトルの意味が分かりませんでした。物語では23:32という時刻には、これといったトピックスはありませんでしたよね。あるいは、8と8、23と32という鏡像の関係にある時刻を用いることで、「星空の映る水溜まり」「鏡像を結ぶ時刻」「腕時計と時計台」「待ち人の来ない待ち合わせと、二人だけの時間」という対称性を表現しているのかとも思います。十二時に意識を失ったあとは、時計は逆に回って23:32になったのではないか。そんな気がするのですが、別にそれを匂わせる部分も見当たりませんし、さてどう読取ったものでしょう。どなたか解説を。
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