左腕の傷痕
こずみっく
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」(フィリップ・K・ディック)あるいは「ブレードランナー」(リドリー・スコット)の世界をそのまま借りた作品です。元になる世界が有るだけに千文字の作品を書く上では便利でもあります。読者にあれこれ説明する必要がない分、内容を書き込めます。読者は良くも悪しくも主人公をデッカード役のハリソンフォードに重ねてみるでしょう。
こうした作品を書く場合に重視されるのは、いかに元となった作品と違いが出せるのか、というオリジナリティの問題です。元の作品の描いたものを作者も読者も知っているのですから、それを越えるだけのものが無くてはなりません。この作品の描いている世界は、そういった部分が弱いと思います。レプリカントという存在を出した時点で当然出てくるテーマを再確認しているに過ぎません。
歯切れの良い文体は力を感じさせますので、次回は独自のテーマを持って書いていただけるよう期待します。
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