石を積む

石を積む

名奈尾

(一次予選得点:18.4)

 賽の河原を題材にした作品です。私がその方面に疎いせいか、主人公の石塔を鬼が崩せない理由が読み切れませんでした。無力感を与えないことが最も重い刑罰だということなのか。完全に自分の無力を悟り救いを求める者は菩薩に救い上げられるが、自分の力によって努力をするものには、近道は用意されていないということなのでしょうか。
 この男の境遇は悲惨なように見えますが、作者は自分が石を積み続けているということを肯定し、また誇りにも思っているのではないかと思われました。