12歳の私からの手紙
曜子
仕掛けや捻りのないストレートな作品です。私は「赤毛のアン」などという作品名はとても出せないのですが、自然に出せるあたりが日頃の正しい行いの賜物と感心いたしました。作品全体に主人公の真面目な性格が漂っていて、読者でありながら世間に謝りたくなるばかりです。三十二になるまでに主人公にもいろいろなことがあったわけですが、それでなお十二歳の真摯な心を失っていないからこその感慨が描かれていると思います。あまりに純粋な作品世界に、悲しさや寂しさ以外の感慨をつい抱いてしまいました。(これって誉めてるんですから誤解のないように)
|