私は如何にして心配するのを止めて「その球体」を愛するようになったか
紺詠志
自己愛の肯定の物語です。科学者である主人公にしても、文筆をする作者にしてもともに自己の排泄物によって世の中を映し、理解し、さらにはそれを美しいと信じていることでしょう。それが他のひとのものと違って見えたとてそれは本人がそう思っているだけだったりするのですが、それでもなお自己から生み出された物は美しく思えるのです。そうした感情が作品全体に満ちていると感じました。もしここに提示された排泄物が読者にとっても美しい球体であるならば、この作品は成功したのかもしれませんが、さてどうでしょう。
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