彼女が家にやって来る

彼女が家にやって来る


 「リカがくれたガラスの象」を「持っていってしまったかどうか、ずっと気になって、ぜんぜん映画のストーリーに集中できなかった。」というあたりに、男というものの性質が出ていると思いました。女は男のくれた物は大抵捨ててしまう物ですが、男は実に未練がましいものです。作品の構成は読者を騙そうという仕掛けが凝らされていてそれなりに成功してはいるのですが、ここは正攻法で書いた方が主題が明確になったかもしれません。記述分量のバランスが仕掛けに傾きすぎのような気がします。