水溜りに映る風景

水溜りに映る風景

ちゃちゃ

 大した事のない日常を描きながらも、読後感の良い作品です。千文字の中にエピソードを詰め込みすぎたきらいもありますが、手堅く纏まっています。前半が少し重いようなので、力点を後ろにずらして、最後の少年の描写を多めにしてみてはいかがでしょうか。この作品の命である爽やかさがくっきりとするように思われます。
 表現の面では、ほとんどの文が過去形で「〜だった」となっているのが気になります。もう少し変化が欲しいところです。特に何らかの感慨を記述する際には、現在形が効果的です。最後の「少年の白いTシャツが心地よさそうに風に揺れている」は現在形ですが、ここはうまく書けていると思います。「蛇腹を更に縮める」はなぜ「更に」なのかがよく分かりません。また「そして水溜りには、青い青い空が広がっていた」の「そして」は効果的には思えません。