午後3時30分の熱

午後3時30分の熱

たろうくん21号

 この作品は大変に評価が難しい作品です。最後の最後にこの物語の語り手が「僕」と一人称で語ります。それまではただの三人称小説の形態だったのが、一気に転換するのです。読み方によっては「僕」とは「隣の家の男の子」であり「通勤のバスを待っているとき目の前を過ぎていった男の子」ともとれます。彼女の成長を小学生のときも、会社でも、それから四年の間ずっと見つめていた僕の視線がこの作品のテーマなのでしょうか。私の読みすぎなのかもしれませんが、誰か分からぬその視線の優しさを感じることが出来ました。