K.H

 歌舞伎町のテレクラで知り合ってまだ二回目の、言ってみれば他人とそう変わらない主人公が、カナの心の中を覗き込んでいる情景が、妙に痛々しく思われます。カナの心情は伝わってくるのですが、主人公のことがほとんど語られていないのは残念です。これだけでは、ストーリーに依存した作品になってしまいます。何らかの視点を主人公が示して欲しいところです。このままでは最後の台詞も、単なる強がりの言葉なのか、それとも主人公との間に新たな関係が生まれつつあるのかが読み切れません。