大河原舞さんのこと
高島あさ也
中学生の視点を取ったのが良かったようです。これを大学生以上の主人公が書いていると、ちょっと思い入れが強すぎて鼻に付くと思います。平明な言葉で、素直な感情が表現できたのではないでしょうか。心情面でも細やかな描写が出来ています。「彼女がどういう風に休み時間を過ごしていたのか記憶はない」という点から「走っている大河原舞」だけが主人公の関心を惹きつけていると分かります。
表現の面では、文章を書いている時期が、どうもはっきりしません。「思い出す舞は走っていて、輝いている」という表現からいまは既に彼女とは会っていないようにも読めるのですが、「中学生の僕にとって」とも言っていますので県の体育大会を前にした時期なのかもしれません。
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