二階の浴室から

二階の浴室から

Naoko Ishikawa

 「昼間はずっと仕事をしているけど、あたまのなかの浴室から彼女の声など響かせてみたりもして」の「彼女」は恋人なのかそれとも前出の母親なのかがよく分かりませんでした。どちらかというと恋人のような気がするのですがいかがでしょう。仕事中の自分と「小説なぞ書いている」自分。現在の自分と、昔に戻りたがる自分。輪郭のくっきりした時間と、うすぼんやりした心地よい時間。同じ人間の二つの面を対比した作品だと読みました。だとすると、やはり「彼女」は「恋人」で良いのでしょうか。母と息子の心理的な繋がりを底辺に置いた作品だとすれば、そう思われるのですが。
 文では「いまの近所の喫茶店の名は「もみの木」という」は不器用な表現ですね。ちょっと気になりました。