Slugs − 街中を銀色に染めて
庄田 啓介
(一次予選得点:99)
作者の姿勢とは違うのかもしれませんが、一人称の主人公の姿勢は自己内に完結していて、読者に向かっていないように思われました。読みようによっては、そういう利己的な世界の把握のしかたをする主人公を描いているようにもとれますが、それにしてもそこに何も生み出されていないように思います。「同時に人を鋭利に傷つけていることに気づいて」という言葉を額面通りに受取るべきなのか、自分が勝手に作り上げた虚像が、現実に対して自ら働きかけることで否定されることを述べていると理解すべきなのか、判断に困りました。
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