白い檻

白い檻

鹿野 まどか

(一次予選得点:99)

 どうやら、夏の頃に癌か何かで死んでいった人の事を思って、病室の白い檻の恐怖と嫌悪を反芻しています。夏のたびに、死と向かい合う主人公の脆さとそれでも踏みとどまっている力を表現しているのでしょうか。表現に工夫は見られるのですが、韻文調の文体に引きずられて一人よがりな印象を受けました。もっと読者に強く迫ってくるものが欲しいのですが。