こわれる

こわれる

黒木りえ

(一次予選得点:99)

 時計を壊すという行為に何を投影していると見るかによって、この作品は評価が変わってくるでしょう。先週の「地球儀内世界」と共通したものが見えます。時間の内包する「死」の影を消すことは大変に難しいことです。それを逃れるには、自らの肉体を時間から解放するか、時間の存在自体を否定するかでしょう。この作品にもそれが見えるのですが、さて自傷行為以外に具体的に何をしようとしているのかは、読み切れません。肉体の破壊ではなく、精神面での解決を目指しているようにも思えるのですが。作品全体を通して、焦燥感ばかりが前面に出ているように思えます。