ウミガメ渡り
Naoko
(一次予選得点:99)
信じるということが、テーマになっている作品だと読みました。物語としては、死者の魂に会いに行くというだけの話なのですが、とりあえずハッピーエンドに終ります。死者を送る行為自体が、死者を忘れることでもありますから、悲しい物語とも言えますが。死者に出会うということは、まさに魂の存在を信じることなのだと理解したとき、主人公はかえるにタバコをすすめてやるべきだったと思います。シンプルにまとめてはありますが、内容が薄いようにも感じました。
タイトルについてですが、ウミガメの泳ぐ方向は、川下から川上なのですから「ウミガメ渡り」ではないようにも思われますが、どういう意味なのでしょう。
「小さな鈴を降るように」は「振るように」の誤字でしょう。「河川敷の縁までたどりついた私は後悔した」は「縁」という言葉で表現されている場所がいったいどこなのか分かりません。「河川敷を駆け足でおりる」は「河川敷」という言葉に「おりる」がそぐわないと思われます。水際まで傾斜している地形だとしても、ここは「堤」「土手」「堤防」などを使った方が良いでしょう。「私はジーンズの後ポケットからタバコを取り出すと、一本だけに火をつけて口にくわえた」では複数本取り出して一本だけ火をつけたようになってしまいます。「一本だけタバコを取り出すと〜」が普通でしょう。また「3秒間だけ後悔した」という表現も、作者が意図したほどの効果はあげていないように思われます。
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