夏祭
たまむし
(一次予選得点:99)
はっきり言って読み切れませんでした。妻の行動が、計画されていた物だったのかどうかが分かりません。無邪気な妻なのか、それとも歳を経ても女でありたい妻なのか。どちらにも取れてしまいます。もう少し明確に書いても良かったのではないでしょうか。貝殻のメッセージ性や、帯に載せた妻の心情も丁寧に書いて欲しく思います。
初めも終りも主人公の後ろを妻がついて来るのですが、主人公の心に変容があります。最後の「妻の引き摺る下駄の音が波音をかき消す様に大きくなっていく」に対応する表現が初めの辺りに欲しいところです。「道路の上をを引き摺る下駄の音がしだいに波の音に消されていく」では対応できていません。
「私が目を細めようとした時、水平線上に太陽が頭を出した。私は妻の影の中にすっぽりと収まった」という情景が、想像できませんでした。すっぽりと収まったのなら太陽が出たというのが見えないように思うのですが。これは初めの文と後の文の間に多少の時間の経過があるということでしょうか。よく分かりません。
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