雁渡(かりわたし)
雁渡(かりわたし)
増田高幸
タイトルにつられて読んだのですが、消化しきれていない印象を受けました。別れ話に秋風という図式は平安の和歌の世界からの伝統ですし、目新しさがありません。過去の増田氏の作品にある作品世界の魅力が感じられませんでした。「ハイウェイダンス」の文章の切れとは違っています。最後の「雁渡が吹く。秋が来た、と告げている」は、本当に吹いたということでしょうか。それとも単にそう感じただけなのか。普通、雁渡しは十月頃ですから後者なのでしょうが、はっきりとしていません。