京木倫子
ゆび
音楽というのは紛れもなく「芸術」ですが、芸術はまた「技術」の世界でもあります。心を打つ音を出すために、非人間的ともいえる訓練が強いられたりします。ですから、実力に対して音楽に対する感性が往々にして遅れがちです。まあ、これくらいの実績があるなら、ここまで母親依存でもないとは思うのですが。音楽だけでなく「親離れ」していく子どもたちの間では共通の感覚がこの作品にはあると思います。
最後に「今、弾きたい」と言えることが、私には救いに思えました。ピアノが無くても自分を表現することは出来るのですから。遠回りのように思えはしますが、彼女は自分探しに成功したのだと思います。
|