狼煙

狼煙

まろ

 こういう記憶障害があるのかどうかは定かではないのですが、自分の行動が次々に零れ落ちていく症状のようです。ウェルニッケ言語障害の症状にやや似ている感じですが、主人公は言語障害はないようです。ぽろぽろと零れて、そして断片だけが脳の片隅にへばりついている。その断片を繋ぎあわせるように、物語が語られています。パズルを組み立てるように、主人公と読者が見つける真実。実際に何があったのかは、最後まで分からぬままですが、その不安や自分の行動に対する危惧が共有できる作品にはなっています。