手の中の

手の中の

K・H

 たまにしか会えない恋人同士のぎこちなさが表現された作品です。「久しぶりに会うぎこちなさは、いつものように、会ってしばらくしてから消えた」とは書かれているのですが、カメラの中の彼女はどれもポーズをとり、装ったものです。主人公も照れていて素直な自分が出せていません。それが、一枚の無防備なミキの写真を見ることで露にされます。
 これから二人がどういうつきあいをしていくのか、興味を抱かせる作品です。ただ、この作品自体は単なる日常のスケッチに留まっていて、読者に訴えかける力が不足して感じられます。