八番街のポストオフィス
山田たけし
ポストオフィスという言葉に何らかの意味を込めているのでしょうか。情景としても郵便局が描かれているわけでもないので、何かありそうですが。この街と主人公は意識の上では同化していませんが、この街に来たこと、ハンバーガーショップで食事を済ませていることなどからすれば、この街に暮らすべき境遇なのでしょう。ですから、煙草をねだる人々に対する態度は、そのまま自分自身に対する心の構えと言っていいかもしれません。自分の生き方の否定・肯定がこの作品の主題なのでしょうか。
描写でいくつか気になる点があります。「八番街の通り」は重複した印象です。「自分の能力によって金が動いている社会は、数分で何億と稼ぐものもいればその男たちのようにわずか一ドル程しか作れないといった半ば運命であるように成り立っている」は主述の関係が曖昧になっています。全体に見ても翻訳調の生硬な表現が多く目に付きました。
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