恵ちゃん

恵ちゃん

黒木りえ

 親が思うよりずっと大人になっていった娘と、それでも娘が心配でならない母親の物語です。裏返せば、親に甘えたくとも「大丈夫」と言ってしまう娘の物語ともいえます。娘だからこそ、親だからこそとるこうした態度が優しさの中に描かれています。もちろん女の幸せは結婚だけではないし、再婚によって幸せになれる保証もないのですから母親の考えは違っているのかもしれませんが、そう思ってくれる母親がありがたく、重荷にもなる。それをまた、母親が分かっているという構造が、今の母娘の関係としては典型なのかもしれません。