スコールの街
スコールの街
薗田慎平
優しい人物を描くことの多い作者にしては、異色の作品と言えるかもしれません。状況の描写が主になっていて、主人公の感情の揺らぎなどはあまり触れてありません。この作品で何を主張したいのかが、今一つ不明瞭です。このままでは、単に主人公を卑劣な人間として描いただけで終っているように思えます。スージーにしても生きた人間として描けていません。文章は達者でそれだけの力があるのですから、もっと深く主題に迫って欲しいところです。