はなび
の★
(一次予選得点:19)
「過去からの手紙」(パセリ氏)とシチュエーションが似てしまったのが気になりました。あちらは娘が二十歳になったのを機に手紙を止めるのですが、この作品では主人公が成長していく過程を描いて、その中で「赦し」の声を聞くことになります。この作品を悲惨な過去をもつ人間の苦悩と捉えるのか、それを克服してゆく成長物語として捉えるのかで、評価が大きく変わってくるように思えます。前者として捉えるなら、あまり新味がないように思えます。また主人公の内面描写が不足しています。後者として捉えるならば、もう少し成長を感じさせる描写が欲しいところです。単に髭が生えるとかいうことでなく、精神的な逞しさや覚悟が感じられるものを期待します。主人公が後ろめたい過去をもった作品をかく場合には、作品自体がアリバイ的なものにならないよう注意が必要ではないでしょうか。
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