星に願いを

星に願いを

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 おっちゃんの人生は二つに別けられます。会社が潰れるまでの、会社員としての人生。そしてほんの束の間の少女たちと過ごす日々。どちらも同じく大切な日々でしょうが、自分が役に立っていることを実感として捉えることの出来た後者の方が、幸せだったのかもしれません。少女に接するおっちゃんはとても優しいのですが、これはその前におっちゃんに訪れた不幸のせいかもしれません。ひとりの不幸が多くの人間の幸福を連れてくるという悲しい物語でもあります。
 この作者ならではの、優しい人ばかり登場する静かな静かな物語です。