世界を見渡す場所に立ち
世界を見渡す場所に立ち
鹿野まどか
場面のスケッチとしては細密で、光を感じる事の出来るものになっています。作者の筆力が感じられる作品です。ただ、あまりに映像的な文章になっているため、灰露や白夜、それにニイの内面が希薄になっています。読む楽しみは十分に感じさせながらも、読者に挑んでくる主題が感じられません。そういうスケッチに徹した作品も悪くはないのですが、これだけの素材を使っているだけにもったいない気がします。