黄色い花のある風景

黄色い花のある風景

おかみふみかつ

(一次予選得点:29.5)

 若い独身女性の生活と心情を描いた作品です。主人公の心を作者が外から見つめているのが、抑制の効いた作品にしています。今流行の風水か「黄色い花をバルコニーに置くと幸せを呼ぶらしい」とマリーゴールドを買ってくるあたりに、うまく心情を表現できています。この女性は、男性とどのような心理的関係にあったのでしょう。「直美を大切にしてくれなかった訳ではない」というあたりを見ると受身の関係を想像するのですが、最後で「何かを失う悲しさを当分味わいたくない」と言っていますから占有の気持ちもあったのかもしれません。そのあたりも、ちょっとは触れてあるといいのにと感じました。
 失恋した女性の気持ちの掘り下げがやや定型的な気もするのですが、破綻無くストーリーを展開しています。