かすかな痛み
三浦鮎実
形の上では、アメリカの南の端(例えばサンジエゴ)の町に住む日本人主婦の物語です。しかしながら、この物語は日本人主婦全般にあてはまる物語のように思われます。外の世界と交流がない。育児には疲れ果てているが助けてくれるような人はいない。亭主は夜まで帰ってこない。孤独と疲労と無力感。完璧であろうとすればそれだけ無力感が募って気力が落ちてゆく。家庭に入った女性のほとんどが持っている感覚ではないでしょうか。
だからといって社会や周りの人間を告発することも出来ず、自分で抱え込んでいく主人公の心情が切々と伝わってきます。作品自体も、そうした無力感に影響されてか、充分には書ききれていないように思えるのが残念です。
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