takka

(一次予選得点:22.5)

 主人公の生き方について読者に問いかける、力のある作品です。現実の中で生きていくために生きていた主人公が、月に象徴される至上のものにだけ従う生き方を選びます。王よりも月は高いところにある。
 しかしながら、主人公の想念はそこに留まっています。千字の制限もありますので、あまり多くは盛り込めないのですが、これでは常識の範囲に収まってしまっているようにも思えます。死を覚悟しながらも生き延びることのできた主人公が、これからどのように生きていこうとするのか(単にヴィーナを弾いて暮らすのか)を明確に打ち出せたら、一回り大きな作品になるのではないでしょうか。