柏木雅博

(一次予選得点:24.5)

 臨終の場面を描くという、十分に劇的な素材を使いながらも、主題がややぼやけたように思えます。最後の部分で父、母、ソフィアのことが出てくるのですが、その辺りが重要なのでしょうか、それとも単にちんぴらから抜け出ようとしても、単なる消耗品として死ぬしかないということを言いたいのでしょうか。血というものの力が強調されているわりには、描かれている場面が無力感の漂うものだからでしょう。
 各場面の描写に関しては、優れたものを持っているように思われますので、もう少し絞り込んで書いてみてはいかがでしょう。