神様

神様

Puresilver

(一次予選得点:24.9)

 自分の家で飼っていた猫が、子どもたちの間で神様になっていたというお話です。アイディアはなかなか味があっていいと思います。ただ残念なことに、状況の説明がやや不足しているように思われます。題材を活かしきれなかったように思います。
 まず、彼女と自分の年齢の差や過去の関係が分かりません。どうやら彼女は、主人公と家が近い(主人公の家の側の小学校に通っていた)らしいのですが、同級生ではないようです。もし同級生や近い年齢なら、「神様」のことを知っているのが普通でしょう。もちろん、彼が逆上がりが得意だったからという解釈もありえますが、その辺りは説明されていません。「スポーツテストよ」と彼女だけに理解させることで、匂わせているのかもしれません。出だしの「僕の家の門は、春になると決まって、花に飾られる」も、それが人間によって飾られるのか、春が花を飾っていくのか、予備知識のない読者には分かりにくいでしょう。その他、主人公の家と学校の距離感など、読者が情景を思い描く上で、やや不親切な感じがします。
 細かなところでは、「待ち構えていたように、子供が3人立っていた」は日本語的におかしいように思われます。「待構える」動作を行なおうと待機している状態であり、「立っている」では釣り合いが取れません。「待っていたかのような子どもが立っていた」か「待構えていたかのように子ども達が話し掛けた」辺りが妥当ではないでしょうか。