政田雅蔵

 静かな文章で、死の影を背負った妻と主人公の姿が描かれています。「もっとたくさん見ておかなくちゃ」という妻と、実は自分もそう思っている主人公の気持ちが、抑制の効いた形で伝わってきます。桜と死という古典的な題材を、丁寧に描いた好作といえるでしょう。