時間販売機

時間販売機

mmatsu

(一次予選得点:22)

 この作品に、時間販売機の仕組みを説明する以上の内容が込められているのかどうか、しばし悩みました。最後の行の意味するところは、書かれた通りに読むならば「売ってしまったその後の二時間が過ぎてから、男は現れるはずだ」という風に解釈できます。このこと自体は不思議でも予想外でもなく、この機械の設定を読んだ時点で読者が理解していることだと思います。であればこの行の意味自体がこの作品の目的ではないのではないか、そう私は思い悩んでしまったのです。例えば、世代の違う二人にとって時間が持つ意味が異なっていること、また同じ時間の枠に生きようとしてもすれ違ってしまうということを言いたいのかもしれません。しかし、そうだと言い切れるほどの描写も見当たらないのです。作者にしてみれば、読者それぞれに解釈があってよい、といった程度のことなのかもしれませんが、やはり執筆時の意図は、ある程度ヒントにして隠しておいて欲しいように思えます。
 で、本当のところは、どうなんでしょう。