夏休み

夏休み

独民

 周りからは、一向に大人として扱ってもらえない少女が、夏休みを迎えて大人になりたいと背伸びをする。そんな通過儀礼的な心の揺らぎを、丁寧に綴った作品です。少女が考える大人へのステップとは「少し胸が膨らんだ」とか「脱毛ムース」のような他愛もないものなのですが、そうしたことに何かわくわくするような期待感を抱く幸せな時間が、うまく表現されています。
 自分を子供扱いするところはあるものの、打ち解けて話すことの出来る友達や母親との良い関係が作品に安心感を与えて、爽快な読後感を残してくれます。