満員電車合気道
鳥沼 信吾
なかなかうまく纏まった作品です。設定の不自然さもなく、受け入れやすい構成です。 武道に限らず、その目的と実際が矛盾しているものは多々あります。暴漢が現れねば役に立たない護身術、平和が訪れては失業してしまう軍事評論家、事故が起こると儲かる航空評論家など。それなりのものを掲げて修練する主人公も、実際のところ昇級試験の方が目的になってしまったわけです。まさに世の中は満員電車。誰かの不道徳にもたれ掛かることで自分のポジションを確保しているものなのではないかと、この作品は教えてくれます。
技術的には、第一段落で「時間」という単語が使われすぎているのが気になります。文章をブラッシュアップした方が良いと思います。
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