突撃リポーター

突撃リポーター

倉井 雄大

 単なるフィクションとしてこの作品を捉える人も多いでしょうが、まさに現実に起こりうるお話です。かつて1986年にBugNewsなる今は亡き雑誌で小田嶋隆氏がパーソナルパブリッシングの本質として「一億の梨本」と述べていましたが、まさにそのとおり。インターネットなどの個人でも扱えるメディアが登場した先には、個人情報の暴露が必ず発生します。CSSテレビなどという怪しげな権威は必要もありません。私達がまさに突撃レポーターなわけです。この事態にどう対処するのか。じつのところ対処などはありません。無力であること。それがわれわれの実態なのですから。
 この作品は、そうした事実を問題提起していますが、対処がない以上それから先の事は描けていません。そのとおり、と思う反面どうにか結論をつけて欲しいようにも思えてしまいます。