待ちわびて
待ちわびて
森村 靜
作品に深みは感じないのですが、主人公には好感を持たせてくれる作品です。短い待ち時間に取り止めもなく思い浮かぶ物語。楽しい事が起こるような、それでいてややあきらめの漂う空想が、他愛もなくて笑ってしまいます。いいことといっても、大金持の家に入るといった矮小で世俗的なことに過ぎません。そうした底の浅いところが、主人公に好感を持たせてくれるのです。ストーリーがどうこう言うより、主人公のキャラクタがこの作品の持ち味なのだと思います。