九月のハピネス

九月のハピネス

薗田慎平

 歳をとってすれてくると、若い日のこんな約束が来年も果たされるものかどうか、懐疑的になってしまうのですが、素直に幸せを感じられる主人公たちが羨ましくもあります。このくらいの自信の無い年頃にありがちな、極端な感情の揺れが淡々と描かれており、好感を持ちました。青春物語の王道をいく作品ですが、破綻はありません。出来れば、ある程度の読者の幅に対応できるよう、説得力のあるエピソードや、主人公の内面を描いてくれたらと思います。