荒野疾走

荒野疾走

冬野 朝彦

(一次予選得点:17)

 悲壮な気持ちで車を走らせる男と女。しかし、実際のところ女は男よりも逞しい。ハンドルから手を離しても車は道を走れると言い切って見せる。たしかに、高速走行する道路の設計では、路面の傾斜が計算されており手放しでもある程度の道路追従性があります(実際に試してみてはいけませんよ)。あたりまえといえばそうなのですが、男はそれを見て、気持ちを決めるというわけです。このまま地獄に落ちるにしても逃げおおすにしても、この女となら構わないと男は思えるのでしょう。この作品は、主人公の気持ち以上に、女の凄みが伝わる作品に仕上がっています。