夜空

夜空

埜間 夏太

 どの部分に意味が込められていて、どの部分は単に冗長な部分なのかが判別つかない作品です。以前からこの作者の文章には、冗長な部分があるのですが、この作品でもそれが見られます。たとえば、四階から乗ってきた女性には何か役割が込められているのか、良く分かりません。
 また文の意味が読取れない部分もあります。「地表は漸くマンションが立てる程の球体に縮んでいた」というのはどういう状態でしょう。球体という立体に見えるということは、その外側には宇宙空間が広がっているということか? しかし「街の光が細かくきらめいて、地平線が弧を描くぐらいに見渡せている」ということは、大地は依然として広大であるのではないか?。「円錐形に近いカタチをしている」建物の最上階でものを落としてなぜ地面を直撃できるのか。「その音で我に帰る。どこに電話したんだ?」という自問の意味は何か。
 作者にはきちんとした意味付けがあるのでしょうが、あまりに不親切な部分が多いように思われます。何もかも説明するのも興ざめですが、フェアな形での伏線があればと思います。