赤い石
藤次
(一次予選得点:26.5)
この作品の主題が読み切れませんでした。依頼人の義母を描きたいのか、それともガラス玉とは知らずにそれを大切に思う依頼人を描きたいのか、あるいはガラス玉の価値を理解できない別れた夫や、主人公を描きたいのか。
ある人との関係が消えた後、かつての関係を確認する手段として、われわれは物を利用します。偶像といってもよいかもしれません。そのものの存在の確かさに、自分とそのひとの間の関係を支えてもらいたがるものです。実際にはガラス玉くらいしかくれなかった義母との関係は、彼女の中では確固として守られるべきなのです。そのためには百万円ぐらいは惜しくない。このように理解したのですが、今一つ自身がありません。なにかヒントでもあればと思うのですが。
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