消滅呪文

消滅呪文

の★

 切ない父子の物語のように思えます。妻と別れた主人公、それゆえにか児童相談所に通っている息子。二人の互いを必要としながら、うまくコミュニケートしきれない微妙な関係が描かれています。互いの辛さを知っているために、相手を拒否することができない互いが「ダムド」の言葉を使って会話する。
 読者が父親と息子のどちらに感情移入するかによって味わいがかなり違うでしょうが、やさしい二人ゆえの切なさがうまく表現できています。