エキゾチックジャパン

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 ある種危ない素材を、無難に纏めています。一歩間違えると、外国人排斥の狭量な作品になってしまうところですが、危ういところで留まっています。こうした多人種国家になった日本を否定することなく淡々と描いたのが、作品の品格を保ったように思います。単に面白くしたければ「スコットランド人はけち」「イタリア人はやけに陽気」「中国人は自転車に乗ってる」「日本人は眼鏡で出っ歯」……といった偏見を並べ立てるだけで充分です。しかし、多民族が家族を形成し、日本という国家をどうにか支えていくという姿を夢想するなら、一歩進んだ解釈が必要なわけです。作者は、最低限のリアリティをもってそれを描くことに成功したといえるでしょう。映画ブレードランナーの硫酸の雨降るロスの光景に近い雑然とした雰囲気が良いと思います。アイディアより作者の社会観が支える作品だと思います。