モノクロ社会
mmatsu
なかなかに味わいのある作品です。二十四色の色鉛筆は、多くの場合偏った消費をされます。全く使われない色、どんどん減ってしまう色。それでも、その色鉛筆の特定の色を買い足したりするまで使うことは、まずありません。人生上の選択においても、私達は見知った色、安全そうな色、流行の色の鉛筆を手にすることばかりです。一度、ある色を取ると、ラッキーカラーと決めたのかそれだけで絵を描く人もいます。だから私達は、じつのところこの主人公のようなモノトーンの世界にいるのかもしれません。別の鉛筆にも手を伸ばしてみたら、と作者の悪戯そうな囁きが聞こえてくる作品です。「色の魔術師」でさえ「今は青と黄色があまりよく見えない」ほどなのですから。
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