初恋
佐藤 史子
(一次予選得点:13)
未熟な恋というものの、自己中心的なところ、自己陶酔型の恋愛の残虐性を描いた作品かと思います。ストレートに描かれていて、作風の素直さが感じられます。主題に比してやや迫力に欠けるきらいがありますが、それは物語自体より、描写の側に問題があるように思います。
極端に句点が少ない作品です。そのことがどれだけの効果をあげているかは、疑問です。表現も安定感がなく、主人公の人物像(?)が見えてきません。これは、高校生の彼についても同じです。ここに書かれたことだけしか読取れません。なぜ彼が電車に轢かれることになったのかも説明がありません。
恋とはきわめて個人的な営みではありますが、読者にそれを伝えていくためには、それなりの普遍的な表現と、丁寧な説明が期待されます
文体(特に文末処理)が一定していない点も大変気になりました。ブラッシュアップした改訂版を読みたい作品です。
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