四季の匂い

四季の匂い

介 渓水

 何気ない会話の中に、人生の大切な時間が織り込まれています。互いに信頼しあった夫婦の生き方に好感を持ちました。夫の生き方をずっと見つめてきた妻の優しさに、主人公は導かれていきます。ある意味では、男の「甘え」とそれを許してくれる女の物語のようにも思えます。
 作品の最後で「春の匂い」を読者が感じられるように、もうすこし、ヒントがあってもよいようには思えました。多くの読者は「四季の匂い」を忘れてしまっているのでしょうから。