少年

少年

音無イチリ

 主人公がどんな人か(たとえば、男か女か)が説明されていないので、読み心地の悪さを感じます。
 人間が悲しみに出会ったときに、どのようにして克服して行くのかということを、丁寧に記述しています。少年は実在するのか、あるいは自分の少年時代なのか、いろいろと想像させてくれます。やや抽象的にすぎて、作品の雰囲気だけで分かったような気にさせている部分もありますが、ケレンのない、いわゆる「筋のよい素直な作風」だと思います。