別れの場所は、思い出の湖で
おかみ ふみかつ
作者の意図を判断しかねる作品です。ただ読むならば、最後の部分で笑いをとるオチ狙いの作品に見えます。しかし、主人公とジープの関係がそれまで執拗に述べられていることを考え合わせれば「どうやって帰ろう」は、夢をすてて妥協した主人公の、これからの生き方への戸惑いと不安を表しているようにもとれます。そうした作品なら、彼の気持ちの良く出た秀作だと思いました。ただ、作者の狙いがそうなら、最後の言葉の後ろに何らかの感慨を見せて欲しいところです。
例1)「どうやって帰ろう」自分があまりにも遠くに来てしまったことにユウマは不安を覚えた。しかし、それでいてここはとても心地よいのだった。
とか
例2)「どうやって帰ろう」苦笑いしながらもユウマは、長い帰り道が、昔からの恋人との別れにはちょうどいいような気がした。
といった描写があれば、作品の意図が明らかになるように思えます。
もう一点「別れの場所は、思い出の湖で」という文章は、日本語としておかしいように思えます。「別れの場所は、思いでの湖」か「別れは、思いでの湖で」で良いように思えます。
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