過去からの手紙

過去からの手紙

パセリ

(一次予選得点:13.5)

 初めの二行が、この作品の全てといっても良いでしょう。子どもに死なれた親(特に母親)は、誰しも自分が殺したと考えるようです。この作品の場合は、特にそう思う理由があるのですが……。もちろん手紙を止めることもできないことではないでしょう。あえてそれをしない主人公の心根が悲しい物語です。最後の手紙が届いて、主人公は癒されるのでしょうか。その辺りは、書かれていません。どちらなのかを読者に委ねているのか、あるいは作者にも分からないのかもしれません。
 初めの2行に集約されたストーリーを、千字で丁寧に描いた作品といえるでしょう。